祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ
下のチビ助の最近の音読の宿題は、平家物語の出だしの部分だ。そう言えば、小学生の時、一時、平家物語にハマって、公民館で本を借りていたのを思い出した。その頃の自分にとって、義経と弁慶はやっぱりヒーローだったな。源平の合戦についての話は色々と読んだけれど、強く印象に残っているのは、強弓を引くので有名な、鎮西八郎為朝。うちの父も祖父も弓を引くので、自宅に弓道の道具がおいてあったこともあって、何か心惹かれるものがあった。あと、那須の与一の話とかね。
さて、平家物語の音読、「耳なし芳一ばりに頼むよ!」と、チビ助に言ったら、「耳なしケンイチって、何だっけ?」などと例によってすっとぼけやがるので、耳なし芳一は、目が見えないけど、琵琶を弾きながら平家物語の話をするのが上手な人で、ある時、武士に頼まれて、平家物語の弾き語りをしに行ったら、そこの観客の皆さんにいたく感動されて7日とか続けて話しをしに行ったのだけど、実はそこは壇ノ浦で、義経にやっつけられて、入水した安徳天皇のお墓の前で、周りにはオバケになった平家の皆さん達が一生懸命に芳一の弾き語りを聞いていた。
と、いう訳で、芳一の住んでいたお寺の和尚さんが芳一が、殺されてしまうのではないかと心配して、若い衆に命じて、芳一の全身に般若心教を書き写した。そのおかげで夜になってオバケ武士が芳一を呼びに来た時に、オバケには芳一が見えなかった。ただ、オバケ武士は、耳だけが闇に浮いているのを見つけ、耳をちぎって行っちゃった。そういうことで、芳一は、耳はなくなったけれども命まではとられなかったし、その後は幸せに暮らしたらしい。という話をしてあげた。
すると、こわがりのうちのチビ助は、もう平家物語は音読できないなどと言いやがったので、「そうやってぐずぐず言うやつが怨霊になって天国に行けないんだから、ぐずぐずごねているとお前も仲間だと思って怨霊が来るぞ!」と脅したら「そうなの?」と妙に素直に返事をしつつ、オイラにぴったりと体をくっつけて、「諸行無常の鐘の声・・・」と、今度は教科書無しで朗読し始めた。そのうち全部覚えてしまったようで、なかなか学習効果があったと思いきや、トイレに行く時、「怖い、怖い」などと言って目に入る範囲のすべてのドアを開けてトイレの中から家族の誰かの姿が見えないとトイレに行けないと大いに騒ぎやがる。まったくやがて11歳になろうというのに・・・、子供ってそんなもんなのかな・・まあ仕方がないか。
そんなくだらない話はいいとして、思いがけず久々に耳にした平家物語(の出だし)だけれど、やはりいいものだ。たまには、耳なし芳一ばりに素敵な朗読を聴いてみたいと思いましたね。
コメントする